”自分に優しくしたほうが幸福感が高まるよ”という話
よく「人に優しく、自分に厳しく」と言われますが、自分に優しくしたほうがいい時もあるんじゃねというお話です。
まぁ、私は「人に優しく、自分にもっと優しく」のポリシーですが。
自分に優しくしたほうがいい時というのは、なにか失敗や挫折を経験したとき。
心理学者のマーク・リアリーは
「自己への思いやりを持つ人は、幸福感と満足度が高く、不安感が下がり、PTSD
(心的外傷後ストレス障害)の症状が改善する」と述べております。
失敗や挫折を経験したときに、「自分が~~でなければよかったのに」ではなく、
「~~さえしなければよかったのに」と自分の人格ではなく言動を責めるようにすると
恥の意識ではなく、罪の意識を持てるようになるそうで。
作家のアーマ・ポンベック曰く、罪の意識は「尽きることのない贈り物」と言われるくらいなんで、過去の過ちを償い、次はより良い選択をしようと考えることができるんでしょうな。
逆に、恥の意識を持ってしまうといろいろよろしくないこともわかっておりまして、
恥の意識を感じやすい人は、薬物・飲酒の問題に悩みを持つことが多く、敵対心や攻撃心を抱きやすいんだとか。また、恥の意識を感じやすい囚人は再犯率が30%も高くなるらしいです。
yaahekyanon-3100-4.hatenablog.com
ここで前回のエクスプレッシングライティングの話につながるのですが、
失敗や挫折を経験したときにこのエクスプレッシングライティングが役に立つことが分かっております。
学生を対象にした実験で、参加者に自分がいやになるような失敗や出来事を思い出してもらいます。
それから、同じような失敗をした友人を慰めるように自分宛に手紙を書いてもらった場合、たんに自分の長所を書いた人に比べて、幸福度が40%も高まり、怒りの指数が
24%も下がったそうで。
また、心理学者のジェイミー・ペネベーカーによる大学生を対象にした実験では、学生をA.日常の出来事を感情抜きにして書いてもらうグループとB.人生最大のトラウマについて書いてもらうグループに分け、毎日15分間のエクスプレッシングライティングを行ってもらいました。
すると、自分の失敗談やトラウマを感情を込めて書いたグループ(Bグループ)は心身の健康状態がAグループを上回っていることが分かりました。
具体的には、T細胞が増加したり、肝機能向上、抗体反応促進…といったところ。
ただ、自分の失敗やトラウマを書く時には、その出来事が起こった直後だとむしろ逆効果になってしまうことも分かっています。
起こった直後はメンタルが不安定なので、その状態で向き合おうとするとかなり負荷がかかってしまうんでしょうな。
あと、エクスプレッシングライティングは基本一人ですると思うので、悲しい出来事の直後だと、孤独感が一層強まってしまうんでしょう。
参考文献
シェリル・サンドバーグ、アダム・グラント 「OPTION B」